2008 年 69 巻 4 号 p. 841-845
われわれはMeckel 憩室が茎捻転し,壊死に陥り,イレウス症状を呈した症例を経験したので報告する.症例は6歳,男児.嘔気,腹痛を主訴に当院救急外来に搬送された.来院時,絞扼性イレウスが疑われたため,緊急にて開腹術施行した.開腹所見では,中腹部に茎捻転により壊死に陥った90×60mmの巨大な憩室を認め,回腸末端より約60cm口側に存在していた.この憩室は頸部で時計回りに360°回転し,壊死に陥っていた.この憩室を含めた小腸楔状切除を行った.Meckel憩室自体が頸部で捻転をおこした症例は稀であり,本邦では15例の報告が認められるのみである.これらの憩室はすべて長径6cm以上と大きく,茎が細い特徴があった.本例では憩室が捻転によって壊死に陥り,腹膜刺激症状を呈し,さらにこの巨大な憩室の圧排によってイレウスをおこしたものと考えられた.