日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳腺の偽血管腫様過形成の1例
境澤 隆夫春日 好雄松下 明正坂口 博美久保 周熊木 俊成上原 剛
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2717-2721

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抄録

乳腺の偽血管腫様過形成が腫瘤を形成する場合はpseudoangiomatous stromal hyperplasia (PASH) と呼ばれ, 稀とされている. 今回われわれはPASHの1例を経験したので報告する. 症例は28歳, 女性. 右乳房腫瘤を主訴に当科を受診した. 右乳房A領域に大きさ30×25mm, 境界明瞭で弾性硬, 可動性良好の腫瘤を触知した. 超音波検査, 穿刺吸引細胞診では線維腺腫が疑われたが, 比較的腫瘍が大きいため腫瘤摘出術が行われた. 病理組織学的所見では紡錘形細胞を伴ったスリット状, 血管様の間隙が不規則にみられた. 免疫組織学的染色ではVimentin, α-SMA, Desmin, CD34が陽性でありPASHと診断された. PASHは術前診断が困難な場合が多く, 時に低悪性度の血管肉腫と鑑別を要することもあり注意が必要である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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