日本臨床外科学会雑誌
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右胃大網動脈による冠状動脈バイパス術後CT angiographyが有用であった胃癌の1例
臼田 敦子勝部 隆男久原 浩太郎村山 実今野 宗一小川 健治
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2006 年 67 巻 12 号 p. 2838-2841

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抄録

症例は74歳,男性. 20年前から糖尿病を指摘されていたが放置. 2006年2月,虚血性心疾患(3枝病変)の診断で右胃大網動脈をグラフトとした冠状動脈バイパス術を受けた. 2006年12月,黒色便が出現したため近医を受診,胃癌の診断で当科に入院した.胃体上部後壁にIIc型早期胃癌を認め,生検では低分化腺癌であった. CT angiographyで右胃大網動脈(以下RGEA)グラフトの開存と走行を確認し,グラフトを損傷することなく胃部分切除術を施行した.病理組織学的には, por2, pT1 (SM2), ly0, v0であった.本症例のような胃癌の治療にあたって,安全性の面から問題となるのは手術時のグラフトの損傷であるが,その確認にCT angiographyが有用であったので報告する.

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