日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
胃原発T細胞性悪性リンパ腫の1切除例
武本 智樹根津 理一郎藤井 眞吉川 澄
著者情報
キーワード: T細胞性悪性リンパ腫
ジャーナル フリー

2005 年 66 巻 6 号 p. 1323-1327

詳細
抄録

稀な胃原発T細胞性悪性リンパ腫の1切除例を経験したので報告する.症例は61歳,男性,心窩部痛を主訴として来院した.上部消化管内視鏡検査で胃体部小彎に潰瘍病変を認め,生検にて悪性リンパ腫と診断した.末梢血液中白血球数,分画ともに正常,抗human T-lymphotropic virus type-1 (HTLV-1)抗体は陰性であった. Gaシンチで胃に集積像を認め, CTで全身のリンパ節の腫大を認めなかった.胃原発悪性リンパ腫と診断し胃全摘を行った.病理組織学的にはNon-Hodgkin's lymphoma, diffuse pleomorphic type, 免疫染色でCD3(+), UCHL-1(+)のT細胞性リンパ腫であった.胃原発T細胞性リンパ腫の本邦報告例44例を臨床病理学的に検討したところ, T細胞性リンパ腫は表層型の病変が少なく,病理組織学的には多形細胞型が多かった.また臨床的には進行例が多く根治切除率が低かった.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top