日本臨床外科学会雑誌
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閉鎖孔ヘルニア10例の検討
特にメッシュ修復法の有用性について
高塚 聡山本 篤高垣 敬一田中 浩明
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2000 年 61 巻 12 号 p. 3400-3403

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抄録

最近10年間に経験した閉鎖孔ヘルニアの10例について検討した.年齢は56~87歳,平均77.8歳と高齢で,平均体重35.6kgと痩せた患者が多かった.8例が女性で,分娩回数は平均4.3回と多産傾向がみられた. Howship-Romberg徴候は6例に認められた.骨盤部CTを施行した最近の7例は術前診断可能であった.嵌頓臓器は8例で小腸がRichter型に嵌頓し, 1例に小腸係蹄が嵌頓していた.壊死あるいは穿孔を伴っていたため,腸切除を施行したのは3例であった.ヘルニア門の修復は, 2例に腹膜縫合と卵巣の縫着を, 1例に閉鎖膜縫合を施行した.最近の7例に対してはポリプロピレンメッシュを用いて閉鎖孔を閉鎖した.本症の診断には骨盤部CTが非常に有用で,メッシュを用いた修復は容易でかつ根治的な治療法であり,腸切除を必要とする症例でも使用可能と考えられた.

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