日本救急医学会雑誌
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十勝医療圏における4年間の院外心肺停止症例の検討
大塚 尚実山本 修司一瀬 廣道佐藤 紀和田 浩輔本間 広則水口 亜紀
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2006 年 17 巻 10 号 p. 721-728

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抄録

北海道・十勝医療圏における過去4年間(平成13年1月~平成16年12月)の院外心停止症例について,ウツタイン様式に基づいて解析・検討した。4年間に圏内で発生した院外心停止症例の総数は952例で,そのうちウツタイン様式で患者情報を収集できたのは757例であった。757例中,心原性心停止,非心原性心停止,外因性心停止の数はそれぞれ400例(52.8%), 127例(16.8%), 230例(30.4%)で,心原性心停止の割合は国内他報告と同様であった。目撃された心原性心停止は165例で,社会復帰できたのは4例(2.4%)であった。初回心電図が心室細動であった症例は43例(5.7%)で,その割合は国内他報告と同等であるが,海外の報告と比較すると低い値であった。十勝医療圏における課題として,初回心電図が心室細動である症例がこの4年間で増えていないこと,医療圏面積が広いため,国内他地域の報告と比較して覚知~救急隊現着(平均8分)や病院搬送(平均27分)に時間がかかること,bystander CPR施行率が32.1%と低いこと,救急救命士の特定行為指示要請体制の整備不足などが示唆された。社会復帰率を向上させるために,これらの課題を改善していく必要があると思われた。

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