近年,大腸癌に対する腹腔鏡手術の適応は拡大され,2017年4月から2019年6月までに進行・再発直腸癌に対する腹鏡補助下拡大手術を15症例経験した.初発/再発5/10例で,術式は骨盤内臓全摘:5例,仙骨合併切除:9例,恥・坐骨合併切除:1例施行した.1)切除マージンを綿密に計画した画像評価,2)術前化学放射線療法の施行,3)腹腔鏡手術による拡大視効果による局所解剖の認識,4)適切なデバイスの使用がR0切除のポイントと考えている.当院の治療成績は,手術時間中央値979(691-1,277)分,出血量中央値400(80-4,350)ml,開腹移行はなかった.93.3%にR0切除が行われた.Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症は33.3%に認め,術後在院日数中央値は45(21-99)日であった.さらなる手術手技の向上に伴い拡大手術に対する腹腔鏡手術は有用な選択肢の一つになりうる.