日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌に合併した閉塞性大腸炎の検討
-発症時期と経過の遡及的推測-
浅野 道雄森 武生高橋 慶一安野 正道
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1999 年 52 巻 6 号 p. 473-478

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抄録

大腸癌に併発した閉塞性大腸炎について, 発症時期を遡及的に推測し, 誘因・臨床経過を明らかにするため, 本症を伴った大腸癌切除例17例について検討した.肛門側の腫瘍の環周度が1/2周性以下の症例が2例あり, 必ずしも閉塞を伴っていなかった.潰瘍性病変の形態を, 肉眼的に広汎型・不整形型・線状型・その他に分類すると, 病変の長さは広汎型, 不整形型, 線状型の順に短く, 病理組織学的にも急性期から慢性期の所見を呈したことから, この順に癩痕化, 短縮するものと思われた.急性で一過性の腹痛・下血・嘔吐・白血球増加などを閉塞性大腸炎の発症時期とみなすと, 発症から手術までの平均時間は, 広汎型・不整形型・線状型の順にそれぞれ2日, 16.6日, 37.5日であった.症状の発症に先立ち浣腸・術前の前処置 (ブラウン変法) ・下剤内服が行われていた症例が3例あり, 人為的な腸管への刺激が閉塞性大腸炎を誘発する可能性が示唆された。

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