日本大腸肛門病学会雑誌
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Crohn病の肛門病変
-当院症例の検討-
友近 浩小出 欣和諏訪 智治佐藤 滋美喜多 宏人中井 勝彦松田 保秀川上 和彦
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キーワード: Crohn病, 肛門病変
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1996 年 49 巻 7 号 p. 590-595

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抄録

肛門病変合併Crohn病症例25例の肛門病変 (裂肛5例, 低位筋間単純型痔瘻6例, 低位筋間複雑型痔瘻6例, 高位筋間型痔瘻1例, 坐骨直腸窩型痔瘻6例, 分類不能型痔瘻1例) について検討した. 25例中24例が肛門病変を初発としていた. 裂肛については全身管理を怠らねば, 保存的治療で満足すべきQOLが得られるが, 複雑な痔痩に進展していく場合があり注意を要する. 筋間痔瘻に対しては原則として通常の痔痩に準じた治療方針に従って手術を行っているが, 治癒遷延をきたしやすく, seton sutureを第一選択としてもよいと考えられる. 坐骨直腸窩型痔瘻については通常とは異なった病因も想定され, 治療に難渋する症例が多く, 当院において括約筋温存手術を行い得た症例はない. いずれにせよ肛門病変の特異な形態・経過が本病発見の端緒となることが多く, その点, 日常診療において肛門病変を伴うCrohn病に遭遇する機会の多い肛門科医はとくに留意しておかねばならない.

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