日本大腸肛門病学会雑誌
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S状結腸癌,直腸癌における骨盤自律神経およびその周囲組織への転移に関する検討
前田 耕太郎橋本 光正片井 均洪 淳一山本 修美細田 洋一郎堀部 良宗
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1993 年 46 巻 6 号 p. 740-745

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抄録

S状結腸癌,直腸癌に対する骨盤自律神経温存術式の適応を明らかにするために,自律神経およびその周囲組織への転移について検討した.対象はこれらの自律神経の切除を伴うS状結腸癌6例,直腸癌2I例の合計27例で,方法は,切除標本より,これらの神経を周囲組織を含めて標本(神経標本と略)を採取し,神経の長さを測定後,切除標本の所見とともに病理組織学的に検討した.神経標本内には,23/27例に合計119個(平均5.2個)リンパ節が認められたが,神経にもリンパ節にも癌の転移はなかった.しかしながら,Rabの1例(a2,n1)とRbの1例(pm,n0)で,骨盤神経叢周囲の脈管内に転移が認められた.これまで自律神経温存手術は,PM(pm)もしくはAt(ai),N0(n0)症例に適応とされることが多かったが,このような症例もあることを認識して慎重に適応を決定し,手術を行うべきであると考えられた.

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