1992 年 45 巻 6 号 p. 818-822
Dukes'C,下部(Rb)直腸癌で治癒切除施行例に対する術中骨盤腔温熱化学療法(以下,温熱法)の局所再発予防効果を検討した.対象は温熱法施行群15例,非施行群16例の計31例で,壁深達度,リンパ節転移に差はみられていない.温熱法の実際は,直腸切断(切除)術施行後,骨盤腔をMitomycin C 40μg/mlを含む加温生理食塩水で満たし,試作したヒーターを用いて45℃,90分間加温するものである.観察期間の平均は温熱群30カ月,非施行群40カ月で,温熱群がやや短いが,局所再発は温熱群が2例(2/15:13.3%),非施行群に7例(7/16:43.8%)にみられた.一方,血行性転移はともに4例ずつであった.温熱法は局所再発予防効果が期待でき,直腸癌根治手術の補助療法として有用であると思われた.