日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸切除結腸肛門吻合術後の排便機能
低位前方切除術後との比較・検討
高橋 利通
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1990 年 43 巻 2 号 p. 132-137

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抄録

低位前方切除術50例と直腸をまったく, またはほとんど残さず切除し結腸肛門吻合術を行った11例を対象とし, 排便回数, 便とガスの区別, soilingの有無などの臨床症状と直腸肛門内圧検査を行い, 両者の術後の肛門機能を比較検討した.結腸肛門吻合例では全例に術後早期に頻回の排便, およびsoilingがみられたが, 術後6カ月以降には改善し, 11例中8例では1日排便回数が5回以下となり, soilingは2例のみにみられた.低位前方切除術では術後6カ月以降になると排便回数は全例が5回以下であり, さらに半数以上は1日2回以内となり, soilingは全例にみられなかった.また両者とも直腸肛門内圧検査で肛門管静止圧, 随意収縮圧は術後直後低下するが, 経過とともに上昇し, いわゆる直腸肛門反射の出現率も増加した.直腸切除結腸肛門吻合術は人工肛門が回避でき, 排便機能は低位前方切除術と比べやや不良で, 回復がおくれるものがあるが, 比較的良好であり, この方法で根治手術が可能なものには適当な手術と考えられた.

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