2010 年 63 巻 8 号 p. 531-534
症例は40歳代男性.4年前から粘液便が出現し,1年前から血便を認めた.排便回数も1日に5から7回であったため,当科を受診した.下部消化管内視鏡検査では,直腸第1Houston弁上に発赤した比較的均一な顆粒状の隆起性病変があり,一部白色粘液の付着を認めた.直腸第2Houston弁上に発赤した顆粒状の隆起性病変と直腸第3Houston弁上に発赤した粘膜を認めた.生検では特異的所見を認めなかった.診断のため,直腸第1Houston弁の隆起性病変の一部をポリペクトミーした.病理組織では,粘膜の間質に線維筋症を認め,直腸粘膜脱症候群(MPS)と診断した.排便時いきむ習慣が判明したため,排便指導し,症状や内視鏡像は軽快した.隆起型MPSは多く報告されているが,均一な顆粒状変化は稀であり文献的考察を加えて報告する.