日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸内視鏡検査の偶発症
頸部皮下気腫を呈した穿孔例
高島 茂樹冨田 富士夫上野 桂一上村 卓良片山 外一山口 明夫喜多 一郎宮崎 逸夫
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1982 年 35 巻 6 号 p. 623-626

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抄録

1976年以降,過去6年問に施行したCF334件中1件(0.30%)に偶発症の発生を認めた.偶発症併発例は下痢及び下血を主訴とした59歳,女性で脾彎曲部を中心とした多発性ポリープのためCFにて観察生検を施行した.ファイバースコープのS状結腸通過はα-loop法にてsliding tubeを用いた.検査時,患者は何ら苦痛を訴えなかったが15時間後に軽度の下腹部痛,微熱を認め,24時間後に両側頸部皮下気腫をきたし穿孔が示唆された.X線学的に後腹膜腔から縦隔に亘り広汎な気腫像が観察されたが,気腹像及び臨床的に腹膜炎症状が全く認められなかったことから保存的治療を行ない6日目に症状の完全な消褪をみた.検査後7日目に原疾患治療のため開腹したが穿孔部位の確認は困難であり,しかも不可能であった.以上,CFに基ずく偶発症として頸部皮下気腫を呈した一例を報告するとともにこのような症例の治療に際し腹腔内遊離ガス像の有無が重要であることを強調した.

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