応用生態工学
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事例研究
大学生を対象にした河川生態系の多様性を理解するための宿泊型自然体験学習の実践
野崎 健太郎井上 光也寺山 佳奈高橋 伸行加藤 元海
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2017 年 20 巻 1 号 p. 99-105

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抄録

本実践では,教員希望者が半数を占める大学生集団を対象にして,河川は多様な環境の連続体であることを理解させるために,四万十川の支流,梼原川上流部(高知県梼原町田野々)で 4 泊5 日の宿泊型自然体験学習を行った.自然体験学習の教育効果を高めるために,事前学習において Google Earth,地理院地図を用いて調査地の間接体験を行い,その教育効果を確認した.受講学生は,瀬・淵構造および,河床が砂礫から岩盤までの多様な河川環境を含む 1 つの区間の中を繰り返し移動しながら学習を進めた.事後の自由記述式の質問紙調査により,受講学生が河川には,多様な環境が連続していることを実感し,それらへの対応を理解していることが確認できた.受講学生の半数を占める保育者・教師志望者には,自身の近未来を見据えて,自然体験学習における安全確保の力を身に付けたいという要望が強い.質問紙に見られる受講学生の記述からは,本実践で実施した内容が,その要望に十分に応えていることを示していた.

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© 2017 応用生態工学会
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