日本乳癌検診学会誌
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第27回学術総会/シンポジウム4
同時併用方式で総合判定を行う際のシステム上の課題「同時併用方式の利点と問題点」
坂 佳奈子 阿部 聡子鯨岡 結賀白井 秀明小柳 敬子梶原 崇恵
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2018 年 27 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

マンモグラフィ(MG)と乳房超音波検査(US)を併用する検診を行う際には両者を別々に判定したのちに総合的に判断する「総合判定方式」が推奨されている。 総合判定には同時併用方式(MG を参照しUS を実施する方法)と分離併用方式(MG を参照せずUSする方法)がある。同時併用方式の一番の利点はMG で腫瘤や局所的非対称性陰影(FAD)の疑いの際にその部位をある程度特定し,重点的にみることができることである。 しかしながら問題点も多い。検診現場では医師のMG 読影を待たずしてUS を行うことが多い。診療放射線技師であれば,ある程度MG の知識があるが,臨床検査技師ではどうであろうか。また大規模施設では全受診者に対して必ずMG の後でUS という順番を規定することも厳しい。さらにマンモグラフィ搭載バスによる出張検診では,アナログMG を搭載している地域が多く,またデジタルであっても出張先でMG 画像を確認すること困難である。 われわれの施設では分離併用方式で実施しているが,大きな腫瘤やFAD は部位を考慮してUS 画像にて一致した部位に同じ大きさ,形状の所見があれば医師の判定の段階で精査不要にできることも多い。非常に小さい腫瘤やFAD の所見があり,検診US で所見を指摘できないときには,精査にまわしても要精検率はそれほど上昇しない。 小規模施設や診療放射線技師が超音波を実施する施設であれば同時併用検診を推奨したいが,それ以外では分離併用方式も一つの重要な選択肢であると考える。

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