2009 年 59 巻 2 号 p. 116-124
【目的】夜間頻尿に対する温灸治療の有効性を評価するため、 対照として温度が十分に上昇しないsham温灸を用いたランダム化比較試験を行った。
【方法】夜間頻尿を有し薬物療法に抵抗性を示す36名の患者を対象とし、 温灸群 (n=20) とsham温灸群 (n=16) の2群にランダムに割り付けた。 治療は、 患者自身が自宅で下腹部の中極穴に1週間毎日3壮施灸を行った。 温灸群とsham温灸群で治療前1週間と治療中1週間の平均夜間排尿回数の変化について比較検討した。
【結果】1日あたりの平均夜間排尿回数の推移は、 温灸群では治療前と比較すると有意な減少がみられた。 sham温灸群では治療による変化に有意差はみられなかった。
【結語】中極穴への温熱刺激が1週間の平均夜間睡眠中排尿回数を減少させた可能性が示唆された。 中極穴への温灸治療は夜間頻尿に対して有効な治療方法の一つになり得ると思われた。