2016 年 95 巻 1 号 p. 144-151
水分を多く含む低品位炭を使用する微粉炭火力発電プラントの熱効率改善が求められている。本報では,インドネシアに実在する316 MW 褐炭火力発電プラントを例に,スチームチューブドライヤ(STD)を付加して褐炭を予備乾燥した場合の熱効率を推定した。石炭性状とタービンヒートレートから給炭量を予測し,熱収支に基づいたプロセスシミュレーションによって送電端熱効率を推算する新たな手法を構築した。全水分35%の褐炭をSTD により11.4%に乾燥すると,STD の消費電力と消費蒸気を勘案してもボイラ効率は4.2%(絶対値)改善され,送電端発電効率は1.8%(絶対値)改善されることが予測された。送電端発電効率の向上には,ミル消費電力やファン消費電力の低減も寄与している。STDの付加は,給炭量とCO2排出量の低減に寄与する。