雑草研究
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原著論文
オオバコの刈取りに対する再生力
松嶋 賢一玉井 富士雄野口 勝可廣瀬 友二福山 正隆
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2009 年 54 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

オオバコが種として保有している刈取りに対する再生反応を,他の在来植物とも比較し,種子生産能力の視点も加え,検討した。比較対象とした植物は,農地周辺によく出現するオヒシバ,スベリヒユ,メヒシバ,ヨモギおよびチガヤとした。その結果,地上3cm刈取りにおいて,オオバコ個体の生葉数は刈取後4週目には無刈取りの個体と同数にまで再生していたが,オヒシバでは無刈取りの個体の72%の再生に止まり,それ以外の4種では67%以下で,少なかった。また,地際刈りで再生した植物のうち,オオバコは主茎からの出葉で再生したが,他種は分枝や腋芽による再生が主であった。さらに,オオバコを5月に播種し,7月又は8月に刈取りを実施した区では,出葉速度が速まり,刈取後28日目までに刈取前の生葉数に達し,40日目には無刈取区と同等の葉数に達した。また,刈取後の花茎生産は刈取後30ないし40日後に始まり,約50日後の花茎数は無刈取区のその数と同程度までに回復していた。以上のことより,オオバコは生育旺盛期には,地上部が刈取られても主茎からの出葉速度を速め,地上部同化器官を速やかに再生し,次世代へつなぐ種子生産を可能にしていると判断された。

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© 2009 日本雑草学会
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