APU言語研究論叢
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地域に飛び込んで行う言語プログラムの可能性 ―サービス・ラーニングの観点からの学びの検証―
板橋 民子桐澤 絵里奈高田 亮渡辺 若菜
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 5 巻 p. 56-71

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抄録

留学生が教室を飛び出し、地域に出て日本語を学ぶ言語教育プログラムを地方にある国 際大学で実施した。このプログラムは、サービス・ラーニングの枠組みを参照してデザイ ンしたものであり、学生は地域住民との交流や「まち歩き」をもとに、活動の最終成果物 として新たな「まち歩き」のルートとそのPRビデオを作成し、地域住民に対して発表した。 この言語プログラムの効果を測るため、プログラム実施中に行った会話レベルチェックと 「事後学習」として提出された課題、およびプログラム後に実施したサーベイを「学業面 の強化」「市民性の育成」「自己成長」の3 つの観点から分析した。分析の結果、「学業面」 においては日本語能力の伸びが確認でき、学生自身もそれを強く認識していたが、「自己 成長」はあまり意識化されていなかった。「市民性の育成」という点では、地域への理解 を深め、市民としての自覚の兆しはあるものの、行動につながるような顕著な変化は見ら れなかった。今後は、「学業面の強化」とともに、「市民性の育成」や「自己成長」につな がるようなプログラムの設計が課題である。

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© 2020 立命館アジア太平洋研究センター
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