日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
糖尿病足病変の予防に向けた糖尿病神経障害者の歩行中の中足趾節関節角度変化の研究
大関 直也
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 50 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

目的:本研究の目的は糖尿病神経障害(DN)者の快適歩行中の中足趾節関節(MTPj)の角度変化を明らかにすることである.

対象と方法:対象は安静時MTPj 伸展角度制限のないDN 群19 例と非糖尿病者(non DM 群)15 例とした.三次元動作解析装置を用いて,快適歩行におけるMTPj の角度を計測した.各対象における歩行計測5 試行の平均値を算出した.歩行中のMTPj の伸展最大角度と,その発現時期について,DN 群とnon DM 群を比較した.

結果:DN 群はnon DM 群と比較し歩行中のMTPj 伸展最大角度は,DN 群が26.7 ± 7.2°で,non DM 群が35.1 ± 7.3°でありDN 群で有意に減少していた.ピーク角度の一歩行周期における出現時期はDN 群が60.0 ± 4.3%で,non DM 群が57.5 ± 2.9%であり,DN 群で有意に遅延していた.またDN 群はnon DM 群と比較し,有意に歩幅が減少し,歩行速度が低下していた.

結語:DN 群は歩行中のMTPj 伸展最大角度が減少し,最大角度の出現時期が遅延していた.

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© 2020 日本臨床生理学会
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