日本助産学会誌
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妊娠期の体型満足度と栄養素摂取量の関連
原田 梨央白石 三恵倉嶋 優希千葉 貴子松﨑 政代
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論文ID: JJAM-2023-0015

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抄録

目 的

体型満足度は食行動に影響する可能性が指摘されているが,妊娠中の栄養素摂取量との関連は明らかではない。そこで本研究は,日本人妊婦を対象に体型満足度と栄養素摂取量との関連を明らかにすることを目的とした。

対象と方法

大阪府内のA総合病院の妊婦健康診査を受診する妊娠中期以降の単胎妊娠の女性を対象に,2020年3–11月に横断研究を実施した。質問票を用いて,基本属性,体型満足度,胎児への愛着や抑うつなどの情報を収集し,体型満足度の回答を基に,対象者を体型満足群,どちらでもない群,体型不満足群の3群に分類した。栄養素摂取量は自記式食事歴法質問票を用いて評価し,分析には密度法によるエネルギー調整値を用いた。各栄養素のエネルギー調整済摂取量を従属変数に,体型満足度を独立変数に投入した共分散分析を行った。これらの分析は,妊娠期間による栄養素摂取推奨量の違いを考慮し,妊娠中期,妊娠後期に分けて実施した。

結 果

妊娠中期99名,妊娠後期101名を分析対象とした。妊娠中期では,体型満足群18名(18.2%),どちらでもない群42名(42.5%),体型不満足群39名(39.4%)であり,体型満足度と栄養素摂取量の有意な関連は見られなかった。妊娠後期では,体型満足群26名(25.7%),どちらでもない群32名(31.7%),体型不満足群43名(42.6%)であった。体型満足度と栄養素摂取量に有意な関連が見られ,体型不満足群の摂取量が最も少なかった栄養素は,脂質,総食物繊維,カリウム,カルシウム,鉄,マグネシウム,α-トコフェロール,ビタミンB1,ビタミンB6,葉酸であった。

結 論

妊娠後期では,体型不満を有する場合,妊娠期に必要とされる栄養素のエネルギー調整済摂取量が少ない可能性が示唆された。栄養指導を実施する際には,体型不満の有無を考慮した上で,介入内容と方法を検討することが重要である。

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