日本助産学会誌
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原著
妊娠末期における気分の落ち込みと妊娠中の身体活動量の関連
相澤 未奈美川尻 舞衣子武石 陽子吉田 美香子中村 康香吉沢 豊予子
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2022 年 36 巻 2 号 p. 236-246

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抄録

目 的

妊娠末期の気分の落ち込みと関連する身体活動量の指標を示す。

対象と方法

58名の健康な初妊婦を対象とした準実験的研究の二次分析を行った。身体活動量は,活動量計(Polar Loop 2,Polar社製)により測定し,T1(妊娠5か月),T2(妊娠7か月),T3(妊娠9か月)における身体活動強度別実施時間(座位行動,低強度活動,中高強度活動)(分/日),1回の身体活動時間毎の累積時間(分/日)の平均値を算出した。気分の落ち込みあり群は,T3の自記式質問紙にて落ち込みの頻度が「時々ある~よくある」かつ程度が「少しつらい~とてもつらい」と回答した者とした。

結 果

気分の落ち込みあり群11名(18.9%)はなし群47名(81.1%)より,総活動時間(p=0.002),30分未満の座位行動時間(p=0.020),中高強度活動時間(p=0.035),10分未満の中高強度活動時間(p=0.018)が短かった。気分の落ち込みに対するReceiver Operating Characteristic解析では,T1における10分未満の中高強度活動時間のAUC(area under the curve)は,0.723(95%CI:0.555-0.892,p=0.022),最適カットオフ値は19.43分(感度0.702,特異度0.818)であり,T3における30分未満の座位行動時間のAUCは0.724(95%CI:0.565-0.883,p=0.029),最適カットオフ値は258.05分(感度0.786,特異度0.500)であった。

結 論

妊娠末期の気分の落ち込みを予測する指標として10分未満の中高強度活動時間および30分未満の座位行動時間が示された。散発的な身体活動や座位行動中断は,精神的健康に効果的である可能性が示唆された。

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