1976 年 31 巻 2 号 p. 301-307
Yersinia enterocolitica菌体成分の解析を目的として, 生理食塩水抽出画分 (Fr. I), 温フェノールー水抽出画分 (Fr. II) ならびにFr. IIよ りえた分解多糖画分 (Fr. III) について生化学的および血清学的性状を検討した結果, 下記の知見を得た。
1) 各画分の構成糖は, ガラクトース, グルコース, ラムノース, キシロースのほか, Ellwoodらにより報告された6-deoxy-L-altroseと推定される未同定糖から成る。
2) 抗菌抗血清に対する寒天ゲル内沈降反応により, Fr. I, II, IIIの血清学的性状を検討した結果, Fr. I, IIがともに2本の沈降線を形成したのに対し, Fr. IIIは1本の沈降線を形成した。
3) dd-nマウスを用いて, Fr. IIおよびIIIの毒性を検討した結果, Fr. II投与群では糖質量1, 500μg投与で, 100%の死亡率を示したが, Fr. III投与群では, 糖質量150μgから2,000μgまで投与しても, まつたく毒性は認められなかつた。