2010 年 7 巻 p. 31-44
兵庫県南部地震以降,廃棄物学会を中心に,地盤工学領域では応用地質学会や日本粘土学会等が災害廃棄物の調査を行うようになった.本研究では2007年新潟県中越沖地震を例に,廃棄物行政の実態を俯瞰し,住民に求められる危機管理の方向性を現地調査やアンケート等で明らかにした.また,東京都等の震災廃棄物対策を参照しつつ,地盤材としての有効性を検討した.この一連の流れで,徹底した分別回収がなされたこと,家族や住民間の協力で非常時の自主防災の成否につながったこと,膨大な廃棄物でも適正処理により環境影響を低減出来る可能性が筆者らの調査で示唆された.さらに廃棄物に内在する重金属にも言及し,新潟県内海岸部での調査結果や処理技術の現状も参考のために概観した.