食品衛生学雑誌
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調査・資料
輸入冷凍野菜・果実中の残留農薬実態(1989年4月~2008年3月)
小林 麻紀大塚 健治田村 康宏富澤 早苗上條 恭子岩越 景子影山 百合子永山 敏廣高野 伊知郎
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2011 年 52 巻 2 号 p. 121-129

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抄録

1989年4月から2008年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入冷凍野菜・果実595検体について農薬の残留調査を行った.その結果,162検体から43種類の有機リン系農薬,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,カルバメート系農薬およびその他の農薬が痕跡値(0.01 ppm未満)~4.6 ppmの範囲で検出された.葉菜類(こまつなおよびほうれんそう)では,クロルピリホス,シペルメトリンおよびオメトエートが,豆科野菜(えだまめおよび未成熟いんげん)では,シペルメトリンおよびメタミドホスが,ばれいしょでは,クロルプロファム(CIPC)が,ベリー類(ブルーベリー,ラズベリーおよびいちご)では,キャプタンおよびカルバリル(NAC)の検出率が高かった.また,ライチでは,果肉から水溶性の高いメタミドホスが検出された.農薬が検出された冷凍野菜および果実を喫食した場合の農薬の推定摂取量を算出し,一日摂取許容量(ADI)と比較したところ,各農薬のADI値の0.5%未満から30%の範囲であり,通常の喫食による健康影響はないものと考えられた.

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© 2011 公益社団法人 日本食品衛生学会
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