2022 年 39 巻 2 号 p. 84-91
動物の光受容タンパク質オプシンについての研究は,150年以上の歴史があり,動物の感覚機能や三量体Gタンパク質が介するシグナル伝達についての理解を深めることに貢献してきた。またこの10年ほどには,動物オプシンを研究対象としてだけではなく,細胞応答を光によって操作する道具として活用する研究も進められ,光遺伝学optogeneticsの発展にも寄与している。この総説では動物オプシンの分子的な性質とシグナル伝達特性を簡単に解説し,それらの性質・特性が光操作ツールとしてどのように利用されているのかについて紹介する。特に,動物オプシンをツールとして活かすことで,どのような細胞応答をどのように光操作できうるのかについて力点をおいて概説する。