本研究では,気液交番環境で低合金鋼の表面に形成する鉄さび層を断面観察および分析により解析し,気液交番環境における低合金鋼の腐食加速機構を解明することを目的とした.結果より,気液交番環境で低合金鋼には外側から赤さび層(γ-FeOOH),クラスト層(Fe3O4),内部結晶(Fe3O4),内部鉄さび層から成る多層の鉄さび層が形成することを見出した.鉄さび層は低合金鋼が水膜環境下に暴露されることで形成し,その構造に起因してカソード反応は常時水中に浸漬された場合よりも加速された状態を維持していたため,低合金鋼の腐食速度は増大したと考えられる.