CO2圧入を行うCCSにおいては,CO2腐食に対する考慮が必要である.石油・天然ガスの採掘,生産環境においても,油井管やラインパイプにとって,貯留層に存在するCO2などの酸性ガスによる腐食作用が問題となる.本稿では,CO2環境での腐食現象の概要と,その対策について,既往の研究成果をレビューした.CO2腐食は,比較的高い腐食速度と,虫くい状腐食などの局部的な腐食形態となることが特徴である.また,CO2分圧や温度などの環境条件依存性が高いことや腐食に及ぼす流速の影響が極めて大きいことなども特徴として挙げられる.材料面からの対策としては,合金成分としてCrの添加が有効であることが知られており,CO2環境での防食対策としてスーパー13Cr鋼などのステンレス鋼製のOCTGやラインパイプが多く用いられてきた.