日本地すべり学会誌
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論文
統計的手法を用いた事例解析による地すべり到達距離の検討
楠本 岳志中瀬 有祐藤本 睦中井 真司
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2006 年 43 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

地すべりの到達距離を予測することは, 地すべりによる災害を防止する意味からも非常に重要である。本論文では, 過去の地すべり事例を解析することによって, 到達距離を予測することを試みた。解析にあたっては, 文献・報告書等から, 地すべり移動前後の形態が把握できる事例を抽出し, 対象事例とした。対象事例を類型化した結果, 母集団の半数が泥岩もしくは砂岩 (砂岩・泥岩互層含む), 約7割の地質時代が第三系で占められており, 地すべりの地質的特徴が明らかとなった。重回帰分析では, 予測指標を移動後の見通し角α, 説明変数を移動前の見通し角θと地すべり土塊の幅W とすることにより, 最も予測精度の高い予測式が得られた。特に, 第三系泥岩では, 重相関係数はR=0.923となった。また, 予測式に対して分散分析, 残差分析を行い, その有意性・妥当性を確認した。

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© 2006 公益社団法人 日本地すべり学会
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