北海道畜産草地学会報
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原著
黒毛和種去勢肥育牛におけるデンプン摂取量と糞性状との関係
宿澤 光世塚田 夏子米田 陽俊遠藤 哲代杉本 昌仁扇 勉
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2014 年 2 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

黒毛和種去勢肥育牛におけるデンプン摂取量およびデンプン源の違いと、糞性状との関係を検討するため2つの試験を行った。試験1では肥育前期牛18頭を用いて12、15か月齢時に、試験2では肥育後期牛15頭を用いて25、28 か月齢時に飼料摂取量および糞性状の調査を行った。試験1では12、15か月齢時に濃厚飼料各々5.2、7.8kg、粗飼料3.1、1.5kgを給与した。試験2では粉砕トウモロコシ主体配合飼料(濃厚飼料A)を5.1、5.3kg、トウモロコシサイレージ(CS)を 5.4、4.8kg給与する濃ACS区(6頭)、粉砕玄米主体配合飼料(濃厚飼料B)を4.8、5.1kgCSを5.7、4.9kg給与する濃BCS区(6頭)、濃厚飼料Aを8.5、8.8kg、麦稈を1.6、1.3kg給与する対照区(3頭)を設けた(いずれも乾物ベース)。試験1では乾物摂取量(DMI)中デンプン含量は12、15か月齢で各々28.8、36.8%であったが、糞のデンプン含量およびpHに差はなかった。試験2ではDMI中デンプン含量は濃ACS区、濃BCS区、対照区各々41.3、38.3、38.8%と差は小さかったが、糞のデンプン含量は10.9、14.1、6.8%、糞pHは6.09、5.81、6.31と、糞のデンプン含量が高い濃ACS区および濃BCS区で、糞pHが低い傾向がみられた。また、糞pHは糞のデンプン含量および乾物率と負の有意な相関(各々r = -0.44、-0.47、p<0.01)がみられた。これらから、糞のデンプン含量が高まると、糞pHは低下することが明らかとなり、未消化デンプンが下部消化管に多く流入すると、下部消化管でデンプンが発酵し、糞pHが低下すると推察された。

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© 2014 北海道畜産草地学会
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