2021 年 2021 巻 50 号 p. 31-37
静岡県の遠州灘と駿河湾で 2 個体のバケソコホウボウが採集された。遠州灘で採集された個体は標準体長 152.8 mm の小型個体で、これまでに報告されている小型個体と同様に吻突起に骨化過剰がみられなかった。また、頭部から尾柄にかけての背面に不規則な黄色円斑が散在し、第 2 背鰭の第 2 鰭条と第 3 鰭条間の鰭膜下部と第 3 鰭条と第 4 鰭条間の鰭膜下部にそれぞれ 1 小黒色斑があるなど、色斑に特徴的なものがみられた。本種はこれまで高知県沖からのみ知られていたが、この 2 年は静岡県沖でも採集されている。本種の分布域の北上は海水温の上昇に伴うものと推測される。駿河湾は本種の北限記録である。