2021 年 30 巻 p. 102-111
白神山地世界遺産核心地域に分布する典型的でかつ構造の異なる3つのタイプのブナ林について,動態と更新に関するモニタリングを1999年から行っている.調査は,研究者,地域市民ボランティアや学生ボランティアにより行われており2020年で22年目となる.2019-2020年度も調査を継続したが,2020年は新型コロナウィルスの感染拡大により調査を縮小した.20年間で胸高断面積は増加していたが,森林構造の変化はプロットごとに異なっていた.また,2018年には2000年以来最大と考えられるブナの種子生産があり,2019年には大量の当年生実生が発生した.種子生産量,実生発生量ともに,標高の低い場所では少ない傾向があった.モニタリングの長期継続のために,設定の見直しやマニュアル改訂,新規参加者の募集などを行った.