関西学院大学先端社会研究所紀要
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論文
村民委員選挙から見る村民自治
中国東北地域の朝鮮族村を事例に
林 梅
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2012 年 7 巻 p. 99-113

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抄録

本稿では、中国の朝鮮族村である山鵬村における「村民委員会組織法」に基づく村の村民委員選挙を通して、村の村民自治とその変容に焦点をあてた。そのために、第一に、村の村民委員の選挙形式やその内実を明確化し、第二に、選挙基準については集落形成時から存在した伝統組織におけるリーダー選出方法をもとに検討し、第三に、行政村と集落の関係を検討した。一連の考察分析からは以下のことが明確になった。第一に、村民委員選挙は集落主導で 行われ、伝統組織による選挙形態や基準が引き継がれたものであった。第二に、村民は、集落における自らの暮らしに根拠を持つ選挙基準を、生活を取り巻く環境変化に適応させる形で行政村および村民委員会に埋め込んできた。最後に、集落の権力構造において村民自治は、必ずしも民主的ではないことも浮き彫りにしたのである。

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© 2012 関西学院大学先端社会研究所
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