2022 年 41 巻 3 号 p. 267-275
本研究の目的は,回復期リハ病棟に入棟された認知症および認知症疑いのある患者(MMSEのスコアが23点以下)の転帰先への影響因子を明らかにすることである.基本属性,認知機能関連項目,FIM関連項目をカルテから抽出し,退院後の転帰先を「自宅群」「施設群」の2群に分けて解析したところ,「自宅群」130名,「施設群」58名となった.その2群間比較において統計学的に有意差が認められた項目を説明変数として,ステップワイズ多重ロジスティック回帰分析を実施した.その結果,移動手段と記憶障害が重要な因子として抽出され,作業療法士が対象者の認知症状を評価し,チームや家族と共に支援環境を整えていく必要性が示唆された.