Functional Food Research
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総説
5 年目を迎えた機能性表示食品制度と農林水産物での活用
山本(前田) 万里
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2020 年 16 巻 論文ID: FFR2020_p11-20

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抄録

2015 年に施行された機能性表示食品制度は,生鮮食品も対象となった届け出制で「身体の特定の部位の表現」や「主観的な指標による評価」が認められた.2020 年3 月16 日現在2,801 品目あり,そのうち生鮮食品では,みかん(機能性関与成分はβ-クリプトキサンチン;骨の健康の維持),大豆もやし(イソフラボン;骨の健康の維持),リンゴ(プロシアニジン;体脂肪低減),メロン,ブドウ,バナナ(γ- アミノ酪酸<GABA >;高めの血圧低下,記憶力の維持),カンパチ,ぶり,卵(DHA/EPA;血中脂質低減),米,トマト,ケール(GABA,ルテイン;目の健康の維持),ホウレンソウ(ルテイン),唐辛子(ルテオリン;血糖上昇抑制),メロン(GABA;精神的ストレス緩和),鶏胸肉,豚肉(イミダゾールジペプチド;ストレス緩和)など62 品目が,また,単一の農林水産物のみが原材料である加工食品では,緑茶(メチル化カテキン;ハウスダストによる目や鼻の不快感軽減),冷凍ホウレンソウ,蒸し大豆,大麦,無洗米,みかんジュース,数の子,寒天などが届け出・受理された.

2019 年3 月にガイドラインの修正が行われた.生鮮食品に関わる主な修正点は次のとおりである.生鮮食品について,機能性が報告されている一日当たりの機能性成分の摂取量の一部(50% 以上)を摂取できると表示可能になったこと,届け出確認の迅速化,軽症者データの取り扱い範囲の拡大,専ら医薬品として使用される原材料を元から含む生鮮食品や加工品について届け出しようとする食品の機能性関与成分が「専ら医薬品リスト」に含まれる場合の消費者庁における確認過程の明確化(医薬品に該当しなければ上記リストに記載されていても機能性表示食品として届け出可能<成分例:デオキシノジリマイシン,γ- オリザノール>),届け出対象成分の拡大など.今後の生鮮食品開発では,機能性関与成分のばらつきに対する栽培・加工的制御技術開発,農産物の全数検査システムの開発,複合的な作用の検証方法,消費者が「食による予防,医食同源」の考え方を身につけて機能性食品を適正に喫食するための教育と消費者への正しい情報発信などの課題がある.

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© 2020 ファンクショナルフード学会
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