2021 年 24 巻 p. 11-31
過去20年以上にわたり,我が国の高等教育におけるICTの利活用が望ましい進展を遂げて来られなかった主たる要因は,「日本の大学やその他の教育機関が,高等教育においてICTを利用する必要性を見出せなかった」ことにある.本論文では,これまでの高等教育におけるICT活用の概観とコロナ禍下での実践経験を踏まえ,2050年に向けて展望しつつ,国内の少子化,国際化,リカレント教育,大学の連携・統合・合併等の喫緊の重要課題に対応するためのICT活用の可能性について考察する.さらに,多様な学生の主体的・個別的な学修を支援し,柔軟で拡張性のある教育プログラム・システムを構築・提供するために,国・地域・大学の各レベルで必要とされる方向性,実行可能な取組や戦略について提案をおこなう.