2016年にマグニチュード7.3を記録した熊本地震が発生し,河川堤防において堤体およびその基礎地盤の液状化に起因する沈下等の被害を生じた。熊本平野の河川堤防では,軟弱地盤の圧密沈下や液状化に起因する基礎地盤の沈下や側方変位の抑制を目的として,鋼矢板を支持層まで貫入する着底支持鋼矢板工法,支持層まで貫入しないフローティング鋼矢板工法および着底工法とフローティング工法を組み合わせた部分フローティング式鋼矢板工法など地盤補強が多く用いられている。本文では地震時における各種鋼矢板工法の変形抑制効果を評価することを目的として,河川堤防の堤体およびその基礎地盤の液状化ならびに鋼矢板工法の種別とその組合せに着目して,2016年熊本地震における河川堤防の地震時沈下挙動を分析した。