超音波医学
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症例報告
特徴的な超音波像を呈した虫垂粘液嚢胞の3例
亀田 徹川井 夫規子加瀬 建一篠崎 浩治玉川 英史寺内 寿彰高橋 善明佐藤 政広藤原 美沙植松 繁人
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2006 年 33 巻 2 号 p. 229-237

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抄録

虫垂粘液嚢胞は比較的稀な疾患で, 偶然無症状で発見されたり, 右下腹部痛や腫瘤触知を契機に診断されるといわれている. 特徴的な超音波像を呈した虫垂粘液嚢胞の3例を経験したので報告する. 症例1は19歳, 男性, 右下腹部腫瘤を主訴に受診. 超音波検査で右傍結腸溝に9.1×3.7cmの腫瘤を認め, 壁には石灰化があり, 内部は低エコーでたまねぎの断面のような層状エコーを認めた. 症例2は70歳, 女性, 右下腹部違和感を主訴に受診. 右下腹部に圧痛のない腫瘤を触知した. 超音波検査で回盲部より内側にかけて9.6×3.1cm大の嚢胞性病変を認め, 内部には症例1と同様にたまねぎの断面のような層状構造を認めた. 症例3は59歳, 女性, 右下腹部痛を主訴に受診. 右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知した. 超音波検査でcup-and-ball状の嚢胞性腫瘤を伴うmultiple concentric ring signを認め, 虫垂の嚢胞性病変を巻き込んだ腸重積が示唆された. 注腸整復後の超音波検査では, 盲腸内腔に2.5×2.0cmの類円形腫瘤を認め, 腫瘤と連続した虫垂は径1.1cmと拡張していた. 超音波検査は虫垂粘液嚢胞の診断に有用である.

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© 2006 一般社団法人 日本超音波医学会
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