映像情報メディア学会誌
Online ISSN : 1881-6908
Print ISSN : 1342-6907
ISSN-L : 1342-6907
研究速報
大きな奥行きの知覚における運動視差と両眼網膜像差の相互作用の頭部運動方向依存性
玉田 靖明佐藤 雅之
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 66 巻 6 号 p. J182-J187

詳細
抄録

両眼網膜像差と運動視差は有効な奥行き手がかりであるが,大きすぎる視差は二重像や運動の知覚を生じさせてしまい,かえって奥行きを減少させてしまう.しかし,二重像が生じるような大きな網膜像差と運動視差を同時に呈示することで非常に大きな奥行きが知覚されることが知られている.本研究では,この立体視の促進効果の頭部運動方向依存性について検討した.固視点付近に呈示される小さなディスクに,網膜像差,運動視差,あるいはその両方を与えた.被験者は,固視点からディスクまでの奥行きをマッチングにより応答した.頭部を左右方向または前後方向に動かした場合に知覚される奥行きを比較した.実験1では頭部,実験2では刺激の運動範囲を等しくした.両実験において,左右方向の運動条件では立体視の促進効果が生じたが,前後方向の条件では生じなかった.このことは,立体視の促進効果が左右方向の運動に固有であることを示唆する.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 映像情報メディア学会
前の記事 次の記事
feedback
Top