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Restricted Boltzmann Machine
吉田 真一
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2014 年 26 巻 4 号 p. 163

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抄録

Restricted Boltzmann Machine(制限ボルツマンマシン)は,相互結合型ニューラルネットワークであるBoltzmann Machine の結合について制限を設けたモデルである.2012年頃より急速に応用例が増えつつあるHintonらのDeep Learningにも用いられている.それぞれのニューロンのユニットは,信号が直接入力される可視層と,隠れ層からなり,可視層のニューロンと隠れ層のニューロンが相互に結合している.Boltzmann Machine と異なり隠れ層のニューロン同士は結合していない.各ニューロンの値は二値 {0, 1} とするのが一般的で,その値が出現する確率分布が,可視層ニューロンのベクトル値 v,隠れ層ニューロンのベクトル値 h, v-h 間の重み行列 W としたときの,二次形式 hTWv に基づいて決められる.訓練集合として可視層に入力する vが出現する確率が高くなるよう W を調整するのがRBMの学習である.Deep Learningでは,深く多層化されたフィードフォワード型ネットワークの各層間で,教師なし学習をRBMで行うことで,W すなわちネットワークが疎になることを期待している.ネットワークが疎になることで,フィードフォワード型の深層ネットワークで問題となる誤差逆伝搬法を用いた際の出力から遠い層での重み更新ができない問題を解決することを試みている.また疎になることは,モデルの複雑さの減少,過学習の回避,特徴選択につながることから,認識性能向上に寄与すると考えられている.

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© 2014 日本知能情報ファジィ学会
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