知能と情報
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原著論文
Aperture 問題における知覚認識とその脳内活動部位の推定
林 勲豊島 恒山ノ井 高洋
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2010 年 22 巻 5 号 p. 642-651

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抄録

脳を一つの数理モデルと仮定すると,表象出力の知覚を分析し脳内の階層構造をモデル化するアプローチがある.その心理実験としてAperture実験がある.仁科らは,人間の知覚は対象物の可視領域の大きさと非可視領域との占有性に依存し,線分の可視時間が長いほど認識されやすいことを示した.本論文では,新たに線分速度を変化させた場合の知覚認識率について議論し,さらに,脳波(EEG:Electroencephalograms)計測実験により,脳内での活動部位を推定する.具体的には,Aperture問題の諸条件を変化させた場合の呈示時間の変化に対する知覚認識率を測定して,線分速度の依存性を議論する.次に,EEG(Electroencephalograms)解析用のソフトウェアにより,視覚誘発電位(VEP)の振幅変化から脳内活動部位を推定し,背側経路と腹側経路における推定部位と知覚との関係について議論する.最後に,本実験で得られた2手法の結果から,Aperture知覚の総括的な検証結果について考察する.

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© 2010 日本知能情報ファジィ学会
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