知能と情報
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原著論文
看護ケアテキストデータ分類システムの開発
新居 学安藤 滋高橋 豐内布 敦子坂下 玲子
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2008 年 20 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

医療の現場においてその質を維持・向上していくことは非常に重要なことである.近年,ツールの汎用化と医療現場における実用性を考慮して電算化が図られ,インターネットを介してデータ収集を行い,大量のデータを蓄積するシステム(Web版看護ケアの質評価総合システム)が開発されている.このような取組みは他に例がないため,看護ケアの質向上のために多くの病院の参加が望まれる.しかし現在は,数名の専門家から構成される看護ケア研究班が収集された自由記述回答を実際に読み,記載内容から実施された看護行為を判断して評価しているため,参加病院数を増やすことが難しい.本研究では,Web版看護ケアの質評価総合システムを広く利用してもらうために,自由記述回答の自動分類に機械学習アルゴリズムを用いたテキスト分類システムを構築する.具体的には,あらかじめ専門家により分類されている自由記述回答を用いて,文章の特徴を抽出して数値データ化し,これを教師データとしてサポートベクターマシンにより分類を行う.本論文では,文章の長さや,使用されている単語や表現に関する評価者の知見を反映した特徴ベクトル生成法を提案する.数値実験結果から,提案手法により未知データに対して良好な分類性能が得られることを示す.本研究の成果により多数の看護師からの回答を評価できるようになり,Web版看護ケアの質評価総合システムの利用による看護ケアの質向上が期待できる.

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© 2008 日本知能情報ファジィ学会
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