知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
原著論文
複数の中心性尺度によるネットワーク生成モデル
篠田 孝祐松尾 豊中島 秀之
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 20 巻 3 号 p. 410-422

詳細
抄録

ネットワークの中心性とは,ネットワークにおけるノードやリンクの重要性を表わす指標である.ネットワーク分析では,いくつかの代表的な尺度が用いられている.これまでに,著者らは単一の中心性を合理性の基準とし,ネットワークの形成過程をシミュレートするモデルを提案した.しかし,形成可能なネットワークが限定的であること,現実のネットワークの分析への利用が難しいことなどの問題があった.本論文ではモデルを拡張することで,形成可能なネットワークを広げ,現実のネットワーク分析への応用を試みる.具体的には,エージェントとしてのノードが,ネットワークの形成に参画する際,追加するリンク候補を評価するときの合理性の基準を,単一の中心性ではなく,複数の中心性を属性とする多属性効用とした.提案モデルにおいて生成可能なネットワークの特徴の分析を行ない,現実のネットワークへの適用を試みた結果,ネットワークを構成する主体の合理性をその構造的特徴から推定できることを示した.本論文は,新たなネットワーク分析の手法の可能性を示していると考えている.

著者関連情報
© 2008 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top