日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
第52回日本老年医学会学術集会記録〈パネルディスカッション4:高齢者の栄養管理を考える〉
4.高齢者の栄養状態と予後
長谷川 範幸田中 光柳町 幸丹藤 雄介中村 光男
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2010 年 47 巻 5 号 p. 433-436

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抄録

高齢者は非高齢者に比し低アルブミン血症をはじめとした低栄養状態を高率に認める.低アルブミン血症は,易感染性,難治性感染症,褥瘡の難治化,手術後の縫合不全や創傷治癒の遷延化などを引き起こす.このことからも,高齢者にとって栄養状態を良好に維持することは非常に重要である.われわれは高齢者の低アルブミン血症の原因を明らかにし,その治療法に関する検討を行った.その結果,高齢者では非高齢者に比し消化吸収能は低下しておらず,蛋白質摂取量の低下及び消化吸収率の良好な肉類の摂取量低下という摂取蛋白質の変化を認め,このことが高齢者の低アルブミン血症の主因であると考えられた.高齢者の低アルブミン血症を改善する方法として,プロテインスコアが良好で消化吸収率も高い鶏卵を摂取する方法が有効であった.高齢者診療においては低アルブミン血症を認めた場合,早期から積極的な介入を行うことが望ましい.

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© 2010 一般社団法人 日本老年医学会
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