日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
日本語版 Zarit 介護負担尺度短縮版 (J-ZBI_8) の交差妥当性の検討
熊本 圭吾荒井 由美子上田 照子鷲尾 昌一
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2004 年 41 巻 2 号 p. 204-210

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抄録

本研究は, 荒井らにより作成された日本語版 Zarit 介護負担尺度短縮版 (J-ZBI_8) の交差妥当性の検証 (尺度作成時と異なる対象における妥当性の確認) および構成概念妥当性の検証を目的とした. 大阪府S市の2施設が提供する在宅介護サービスを利用する要介護高齢者561名の介護者を対象に, 郵送法による自記式質問紙調査を行った. 315名の回答者のうち, 回答者が主介護者かつ要介護高齢者の同居家族であり, 回答に欠損のない169名を分析の対象とした. 質問項目は, 要介護高齢者の年齢, 性別, Barthel Index, 問題行動の有無および, 介護者の年齢, 性別, 介護期間, 一日の介護時間, 介護者の身体的・精神的疲労, 虐待の有無, 介護負担 (J-ZBI) 等であった.
J-ZBI_8の交差妥当性確認のため, 内的整合性, 因子的妥当性, 併存的妥当性を検討した. 内的整合性の検討にはJ-ZBI_8と下位尺度である Personal strain, Role strain における Cronbach's αを算出し, それぞれ0.88, 0.87, 0.84であった. 因子的妥当性の検討には確証的因子分析を行い, モデルの適合度は十分であった (CFI=0.99). 併存的妥当性の検討には, J-ZBI_8と, J-ZBIおよびJ-ZBI項目22との間の相関係数を算出し, それぞれr=0.92, 0.66 (共にp<0.001) であった. 構成概念妥当性の検討として, J-ZBI_8と, Barthel Index, 介護期間, 一日の介護時間, 介護者の身体的・精神的疲労との間の相関係数を算出したところ, 介護期間以外の変数との間に有意な相関が認められた. 対象者を要介護高齢者の問題行動の有無および虐待の有無により2群に分け, J-ZBI_8得点をt検定により比較したところ共に有意差が認められた. 以上によりJ-ZBI_8の交差妥当性, 構成概念妥当性が確認された.

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