日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢COPD患者における吸入β2刺激薬の肺機能および生活の質への効果
寺本 信嗣
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2002 年 39 巻 2 号 p. 204-208

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抄録

高齢慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者における吸入β2刺激薬の呼吸生理学的効果と生活の質 (QOL) への効果を検討した. 80歳以上のCOPD患者12名について吸入β2刺激薬 fenoterol bromide (FB) 2パフ (200mg) 前後で安静時肺機能, 呼吸筋力, 運動時呼吸困難感を評価した. さらに, FBによる吸入療法前後一カ月の生活の質をSt. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ) を用いて評価した. FB吸入により, 安静時肺機能では肺活量, 一秒量が増加し, 残気率が低下した. 呼吸筋力は, 最大吸気圧 (PImax) が増加した. ボルグスケールで評価した運動時呼吸困難感は, 有意の低下を示した. SGRQは, symptoms, impact, activity の全ての指標でFB吸入療法後改善がみられた. 従って, 吸入β2刺激薬によって呼吸生理学的改善と同時にQOLも改善することから高齢COPD患者の吸入療法の選択薬の一つとして考慮すべきと思われる.

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© 社団法人 日本老年医学会
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