日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
難聴の分子医学
黒石川 泰喜多村 健
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2001 年 38 巻 3 号 p. 277-280

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抄録

遺伝性難聴を症候群性難聴と非症候群性難聴と二つに大別することができるが, 耳鼻咽喉科領域では, 難聴のみが症状としてある非症候群性難聴について研究成果が上がっており, 70以上の難聴の遺伝子座が判明している. こうした分野の研究では, 患者の末梢血から採取したDNAを用いた連鎖解析, 側頭骨病理の検討や聴覚障害モデルマウスを用いた研究などによって原因遺伝子の同定と内耳内での遺伝子発現と病態解明が精力的になされている. 本稿では, 主に, 日常の臨床で遺伝性難聴を診断するために必要な基礎的知識と知っておくべき遺伝性難聴疾患を紹介した. 遺伝性難聴をしめす難聴者の数は多く, 様々な特徴を示すが, 早期に遺伝子異常を診断できるスクリーニングの手法も開発されつつあり, これが確立すれば難聴の予防や治療が可能になってくると思われる.

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