症例は62歳, 女性. 発熱, 頭痛, 嘔吐で発症した. 入院時, 意識は傾眠, 左側方視で複視あり, 両側聴力低下, 軽度の左片麻痺, 踵膝試験で左優位の拙劣を呈し, PCR法で髄液結核菌陽性を認め, 結核性髄膜炎と診断した. 入院後, 抗結核療法を行い, 意識障害, 頭痛・嘔吐は一時的に軽快したが, 再度意識障害の出現と対麻痺を認めた. 頭部・胸髄MRIでは多発性脳結核腫の出現・増悪, 脊髄くも膜への病変の拡大・進展と脊髄梗塞を認めた. 結核腫は, T2強調画像で中心部が高信号 (bright central core) で辺縁が等信号, T1強調画像で, 中心部が低信号で辺縁が等信号, Gd-DTPA で ring 状に造影された. 脊髄梗塞は, 胸髄の血流境界域に相当する第3胸椎椎体レベルの部位に認めた. 本例のように, bright central core を示した結核腫や治療中にもかかわらず, くも膜炎と脊髄梗塞を呈した症例はまれと考えられる.