日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
結核性くも膜炎, 多発性結核腫を呈した中枢神経結核症例のMRI
加藤 幹元望月 得郎根来 清福迫 俊弘野垣 宏森松 光紀
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 34 巻 10 号 p. 818-824

詳細
抄録

症例は62歳, 女性. 発熱, 頭痛, 嘔吐で発症した. 入院時, 意識は傾眠, 左側方視で複視あり, 両側聴力低下, 軽度の左片麻痺, 踵膝試験で左優位の拙劣を呈し, PCR法で髄液結核菌陽性を認め, 結核性髄膜炎と診断した. 入院後, 抗結核療法を行い, 意識障害, 頭痛・嘔吐は一時的に軽快したが, 再度意識障害の出現と対麻痺を認めた. 頭部・胸髄MRIでは多発性脳結核腫の出現・増悪, 脊髄くも膜への病変の拡大・進展と脊髄梗塞を認めた. 結核腫は, T2強調画像で中心部が高信号 (bright central core) で辺縁が等信号, T1強調画像で, 中心部が低信号で辺縁が等信号, Gd-DTPA で ring 状に造影された. 脊髄梗塞は, 胸髄の血流境界域に相当する第3胸椎椎体レベルの部位に認めた. 本例のように, bright central core を示した結核腫や治療中にもかかわらず, くも膜炎と脊髄梗塞を呈した症例はまれと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top