日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
呼吸不全の増悪を繰り返した原発性甲状腺機能低下症の1症例
久保井 礼木田 厚瑞水内 知子神野 悟桂 秀樹平塚 知子
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1991 年 28 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

甲状腺機能低下症に伴う低換気性呼吸不全を反復した老年女性症例について報告した. 症例は76歳女性. 主訴は呼吸困難および意識障害. 動脈血ガス上, 高度の低酸素血症および高炭酸ガス血症を認め, 炎症所見も高値であった. 甲状腺機能検査上, 血清T3, T4低値, TSH高値であり, 原発性甲状腺機能低下症の状態に気道感染が加わりII型呼吸不全に至ったと考えられた. 甲状腺ホルモン剤投与, 酸素療法, 抗生物質投与により全身状態は改善. しかし, 治療中断後に同様の機作による呼吸不全の再発をみた. 甲状腺機能は呼吸機能とも密接な関係がある. 説明のつかない呼吸不全の患者では甲状腺機能低下症をも鑑別の対象とする必要がある.

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